夜明けのコーヒーを君と一緒に

一流会社に勤めているエリートは、まずは自分の一生が約束されているとおもい込みやすい。だが、途中、経営者の逆鱗に触れて、左遷、更迭されることも珍しくない。組織には必ず主流と反主流があり、盛者必衰のことわりにより驕る者も久しくない。組織の中の勢力関係は変わりやすく、絶対の権力を誇った者も、一朝にして失脚することがある。大手新聞社の社主の逆鱗に触れた一介の新聞記者が、政治権力に対してほとんど勝算のない孤独な戦端を開く。個人と権力、あるいは組織との絶望的な戦いは、私の好んで描くところである。

これまで弱者対強者の戦いには、フィクションの中でしか勝ち目はなかったが、インターネットを手にした個人は、いまや世界に対して発信できるようになり、隆車に歯向かう蟷螂にも勝算が生まれた。その分、小説の舞台が狭められたわけである。携帯電話とインターネットはミステリーの天敵であるが、これをどのようにして克服するかが、この作品の重要な課題となった。『レッドライト』にも同様の課題が課せられた。

実業之日本社
2002.9
実業之日本社
2004.9
角川春樹事務所
2007.5

 
 
 
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