ホームアウェイ

大都市の乱開発によって、都心部の地価が高騰し、サラリーマンのマイホームは職場からはるかな郊外へと遠ざかっていく。いまや通勤片道1時間は常識であり、往復6時間も費やして遠距離から通勤する人もいる。6時間と言えば、1日の4分の1を通勤に費やしている勘定になる。
勤務時間も民間企業では9時から5時まで、8時間きっちりというわけにはいかない。当然、自由時間が圧迫され、平均睡眠時間3〜4時間という非人間的なライフパターンが通常となる。すし詰めの通勤車内では読書どころか、ようやくありついた席では、ひたすら睡眠不足の回復に努めなければならない。労働者にとって、通勤は人生の損失(ロス)であり、なんの利益もない。
私自身、サラリーマン時代、遠距離通勤による〃痛勤〃を経験した。そのころの経験がこの作品を生んだのであるから、私にとってはあながち人生の損失ではなかった。だが、二度とあの痛勤をしたくないために、私はせっせと原稿用紙に向かい合っていると言えよう。

講談社文庫
1996.1
角川書店
2006.7
 

 
 
 
このページはフレームの構成ページです。メニューが表示されない場合、こちらをクリックしてください。
『当サイトの内容一切の無断転載、使用を禁じます。』