「週刊朝日」に『忠臣蔵』『新撰組』と連載して、大河歴史シリーズ3作目として『太平記』を予定していた。その矢先、角川春樹氏から築地の料亭へ招ばれて、「角川書店創立50周年記念として、『太平記』を映画化したい。ついては、その原作を書いてくれないか」と委嘱を受けた。 角川書店の総力を挙げた記念超大作作品の原作執筆に、私は勇躍して、同社の「野性時代」に『太平記』の連載を始めた。当初は一挙掲載400枚でスタートする予定であったのが、次第に膨らみ、ついに800枚となった。一つの雑誌に800枚を一挙掲載したのは私の作家生活中、後にも先にもこれが初めてである。 角川事件の発生によって、映画化は中止になったが、全6巻、3000枚のこの大長編には、角川映画「天と地と」と並ぶ幻の超大作映画がオーバーラップしている。