都市の遺言

大都会は不気味な生物である。便利性と機能性の極致を求めて人間たちが蝟集し、それぞれの能力に応じて仕事を分担し、協力し合い、より便利で機能的な生活を営もうとしたのが、逆に人間が多すぎて、未知の人間は敵性とみなす相互不信のシステムをつくり上げてしまった。
人は愛や友情よりも契約によって結ばれ、言葉は顔と顔を向い合わせての肉声を交わすよりも電話、ファックス、メールなどの機械マシンによって、意思の疎通を図るようになった。大都会の人間の会話から肉声が消えつつある。ついにはケータイやメールでなければ会話できないような奇形の人間が多数派になりつつある。私にはそのような会話が都会の遺言のように聞こえる。この作品は都市の遺言集である。

*祥伝社
1990.7
新潮文庫
1993.1
祥伝社(ノン・ポシェット)
1997.9
日文文庫
2001.5
徳間文庫
2004.11
 

 
 
 
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