背徳の詩集

タイムカプセルはロマンティックである。地中に埋めた物質が長期のタイムギャップを挟んで現われる。10年から50年ぐらいの時間(スパン)であれば、生きている間にタイムカプセルに埋めたものに再会できるかもしれない。再会したとき、埋めた人はいつ、どこに、なにを埋めたのか忘れてしまっているかもしれない。これが犯罪と結びついたならばどうなるか。ロマンティックなノスタルジアは一転して、犯罪を告発する証拠資料となる。時を超えた証拠が告発する古い犯罪は、時効を乗り越える。
私自身、いくつかタイムカプセルを埋めているが、いつ、どこに、なにを埋めたか、定かにおぼえていない。生きているということは、生存競争(サバイバルレース)に参加しているということである。法律は犯さぬまでも、一つの席を奪い合ったり、順位を争ったり、具体的にははっきりとは見えないなにかとの競争に絶えずさらされていることである。自分が勝ち残れば、必ず敗者がいる。タイムカプセルの中に埋めた品がある日突然現われて、忘れている過去を告発するかもしれない。
この作品を構想したとき、タイムカプセルにめったなものは入れられないとおもった。だが、めったなものほど、タイムカプセルの収納物としては価値がある。あなたはなにをタイムカプセルに入れたか。もしこれから入れるとしたら、なにを入れるか。

講談社
1989.9
*講談社
1991.8
講談社文庫
1992.8
ハルキ文庫
2004.1
 

 
 
 
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