悪魔の圏内(テリトリー)

ノーマルなサラリーマンの勤務は、会社へ出勤して、そこで決められた時間働く。だが、その勤務形態が崩れている。パソコンの普及によって、必ずしも出社する必要がなく、自宅で仕事ができる。せいぜい週に1回出社して、打ち合せをすればよい。だが、まだ大多数の勤務形態はオフィスに縛りつけられている。
ところが、まったく出社せず、ただ外へ出てぶらぶらしている勤務形態があると聞いて、この作品の構想が生まれた。サラリーマンは会社に所属しているという意識が精神の拠点になっている。これがまったく自由勤務で、時どき会社に報告に行くだけでよいということになれば、上司や部下や、同僚との人間関係もなくなり、会社への帰属意識も薄れてくる。たまに自分の会社に報告に行っても、組織構成が変化していたり、知った顔がまったくいなくなり、仕事のラインからも完全に外されている。自由勤務はいかにも気楽でよいようだが、自分だけ会社から切り離されてしまったような不安が募ってくる。そんなサラリーマンが踏み込んだ悪魔の圏内を描いてみたいとおもった。
この作品でも猫が活躍する。

実業之日本社
1988.12
*角川書店
1992.6
角川文庫
1993.1
光文社文庫
2000.8
中国語版

 
 
 
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