私の母校、埼玉県立(当時市立)熊谷商業高校は、当時学業、スポーツにおいて町の進学校熊谷高校に及ばず、野球も県予選で出ると負けであった。当時、熊谷高校は萩原投手を擁して甲子園に出場し、準優勝した。文武両面において前県都浦和高校にならぶ埼玉県の名門高校であった。私はそれが悔しく、我が母校が甲子園で優勝する日を夢見た。その夢を小説に書いたのがこの作品である。 現代にタイムスリップした少年忍者が県下で最も弱いおんぼろ高校野球部に所属して、甲子園で大活躍する青春ロマンである。私の夢は後年、ついに実現した。夢の甲子園で我が母校は平安高校と対決し、逆転また逆転、勝敗の行方は最後まで予断を許さなかった。ついに延長戦にもつれ込み、激闘十数回、優勝は逸したが、出ると負けのおんぼろ野球チームが準優勝楯を郷里に持ち帰った日の感激はいまでも昨日のことのように鮮やかにおぼえている。青春を培った母校の行方に、どんなに歳月が経過しても、私は無関心になれない。