白の十字架

まったく無関係の一片の詩や、言葉の断片から、大長編小説の構想をおもいつくことがある。フランスのポップスオーケストラ・カラベリが来日して、私はその演奏会に行った。カラベリは、名前は忘れたが、とても魅力的な金髪の女性歌手を伴って来た。そのとき、彼女がカラベリオーケストラをバックに歌ったのが、アルゼンチン・ペロン大統領夫人・エビータをテーマにした「泣かないでアルゼンチーナ」であった。
そのとき、歌詞はまったくわからなかったが、その歌に感電したような衝撃をおぼえた。この歌詞には、なにか私の心奥と共鳴するものが秘められているにちがいないとおもった私は、家に帰ってから、その歌詞を調べた。
「私は変わらなければならなかった。窓の外をながめ、陽の光も浴びずに一生、膝を抱えてうずくまっているわけにはいかなかった。だから自由を選びました」の歌詞を発見したとき、『白の十字架』のテーマは定まったのである。

角川書店
1978.9
*光文社
1980.3
角川文庫
1980.9
     
光文社
2003.2
   

 
 
 
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