人間の証明

角川春樹氏と西条八十の詩「帽子」に出会わなかったならば、この作品は生まれなかったであろう。
角川氏が当時創刊した「野性時代」の執筆依頼に見えられたとき、私の目を睨むように見て、「作家の証明書になるような作品を書いてもらいたい」と言った。だが、締め切り日が迫ってきても書けない。そのとき、胸の奥でゆらりと動いたのが、学生時代訪れた霧積温泉の弁当の包み紙に刷られていた「帽子」の詩であった。
「母さん、ぼくのあの帽子、どうしたでしょうね」で始まる母と子の愛情を詠った詩を初めて読んでから二十数年しておもいだしたとき、『人間の証明』のテーマは決まった。
ちなみにこの作品は、角川氏が初版100万部を主張したが、営業の反対で50万部からスタートし、各社全判型の総計770万部を記録した。私の全作品中、第1位の発行部数である。第2位は550万部『悪魔の飽食』全3巻とつづく。中国には海賊版が日本の2倍以上出版されていると推測されるが印税は入らなかった。

角川書店
1976.1
*光文社
1977.3
角川文庫
1977.3
講談社文庫
1989.5
ハルキ文庫
1997.9
海南出版社
1998.6
 
角川文庫
2004.5
光文社
2004.7
 
   

 
 
 
このページはフレームの構成ページです。メニューが表示されない場合、こちらをクリックしてください。
『当サイトの内容一切の無断転載、使用を禁じます。』